発達障害のある子どもを育てていると、毎日の中に「見えない仕事」がたくさんあります。
朝起きるところから始まり、学校へ行けるかどうか。薬や体調の確認。予定変更への対応。きょうだい喧嘩。感情の爆発。学校との連絡。支援級とのやり取り。通院や相談先の調整。家事。仕事。お金のこと。これからの生活のこと。
ひとつひとつは小さく見えても、全部が積み重なると、母親ひとりで抱えるには大きすぎます。
それでも、どこかで思ってしまうんですよね。
- 「母親なんだから、やらなきゃ」
- 「私が動かないと、家が回らない」
- 「子どものことだから、ちゃんとしなきゃ」
でも最近、強く思うようになりました。
母親だからって、何でもできるわけじゃない。
仕事の世界では、長時間労働や業務過多を見直すために「働き方改革」という言葉があります。
だったら、家庭にも必要だと思うのです。特に、発達障害のある子どもを2人育てている家庭では、普通の家事育児だけではなく、支援、調整、感情のケア、学校対応、危機対応のようなものが毎日のように発生します。
これはもう、気合いや根性だけで回すものではない。
だから私は、家庭にも「働き方改革」を入れていきたいと思いました。
発達障害児育児は、見えない業務が多すぎる
発達障害のある子どもとの暮らしは、予定通りに進まないことが多いです。
- 朝、起きられない
- 着替えで止まる
- 学校のことで不安が強くなる
- 感覚過敏で疲れやすい
- 人間関係で傷つく
- 言葉の受け取り方でトラブルになる
- 帰宅後に一気に荒れる
- きょうだい同士で刺激し合う
そのたびに、母親は判断します。
- 今日は学校へ行かせるのか
- 休ませるのか
- 先生にどう伝えるのか
- 本人にはどう声をかけるのか
- 姉妹のどちらを先に見るのか
- 仕事に間に合うのか
- 自分の気持ちはどう保つのか
これは、ただの「家事育児」ではありません。
常に頭の中で、調整、判断、予測、対応をしている状態です。しかも、ひとつ対応が終わってもすぐ次の問題が出てくる。
だから疲れるのは当然です。
「母親だからできる」は、思い込みかもしれない
母親になると、なぜか何でもできる前提で見られることがあります。
- 子どものことは母親が一番わかっている
- 母親なら受け止められる
- 母親なら我慢できる
- 母親なら動ける
- 母親なら何とかする
でも、母親もひとりの人間です。
疲れるし、迷うし、泣きたくなるし、怒ってしまう日もあります。
発達障害のある子どもを育てる中では、母親自身の心と体の余力がとても大切です。
お母さんが倒れてしまったら、家庭全体が止まってしまいます。
だから、頑張り続けることよりも、倒れない仕組みを作ることが必要だと思いました。
家庭にも「業務の見直し」が必要
会社なら、業務量が多すぎるとき、仕事の見直しをします。
- 何を優先するのか
- 何をやめるのか
- 誰に頼むのか
- どこを簡略化するのか
- どこに仕組みを作るのか
家庭も同じでいいと思います。
母親が全部を抱えて、全部を完璧にやろうとすると、どこかで限界が来ます。
だからまず、家の中のことを「母親の努力」ではなく、家庭運営の業務として見直してみることにしました。
まずは「絶対に必要なこと」だけを残す
全部を大事にしようとすると、全部が苦しくなります。
だから、優先順位を分けます。
わが家でまず守りたいもの
- 子どもの安全
- 食事
- 睡眠
- 薬や通院
- 学校や支援先への重要な連絡
- お金や役所関係の期限
- 母親である自分が倒れないこと
毎日完璧でなくてもいいこと
- 部屋をきれいに保つこと
- 毎日手作りの食事を出すこと
- プリントを完璧に整理すること
- 子どもの不安を毎回すべて受け止めること
- 予定通りに一日を進めること
命・健康・期限・安全を優先する。
それ以外は、できる日にやる。
そう決めるだけでも、少し呼吸がしやすくなります。
やめることを決める
働き方改革で大事なのは、「もっと頑張ること」ではなく、やらなくていいことを減らすことだと思います。家庭でも同じです。
たとえば、こんなことはやめてもいい。
- 毎日ちゃんとした夕飯を作ること
- 部屋を常に整えておくこと
- 学校からの連絡にすぐ返信すること
- 夜に重たい話し合いをすること
- きょうだい喧嘩を毎回きっちり裁くこと
- 子どもの不機嫌を全部受け止めること
冷凍食品でもいい。惣菜でもいい。洗濯だけできたら合格の日があってもいい。
「やらない」と決めることは、手抜きではなく、暮らしを守るための判断です。
子ども対応も、毎回考えない仕組みにする
発達障害のある子どもとの関わりでは、その場で毎回ゼロから考えると親が疲れきってしまいます。
だから、よく起きる場面には、あらかじめ言葉を決めておくことにしました。
- 気持ちが大きいとき
「今は気持ちが大きくなっているから、少し落ち着いてから話そう。」 - 親が限界のとき
「お母さんも今すぐ全部は受け止められないから、少し休むね。」 - 危険が出そうなとき
「怒っていてもいいけど、物を投げること、人を傷つけることは止めます。」 - 学校の話で荒れそうなとき
「学校のことは、今すぐ結論を出さなくて大丈夫。明日、先生に確認してから考えよう。」 - きょうだい喧嘩のとき
「どちらが悪いかを今すぐ決めません。まず離れます。」
親の対応を少し固定しておくことで、自分の消耗を減らせる気がしています。
学校対応は、母親ひとりで抱えない
発達障害児育児で大きな負担になるのが、学校とのやり取りです。
関わる人が増えるほど、母親が説明役・調整役・通訳役のようになってしまうことがあります。
でも本来は、母親ひとりが全部を背負うものではないはずです。
学校には、こう伝えてもいいと思います。
学校への共有文(例)
家庭内でも対応が重なっており、私ひとりで全てを即時対応することが難しい状況です。
今後は、緊急性の高いことと、後日確認でよいことを分けてご連絡いただけますと助かります。
また、必要に応じて教頭先生や関係職員の方とも情報共有しながら対応を進めたいです。
母親が先生に合わせ続けるのではなく、学校全体で支える形に近づけていく。
それも家庭の働き方改革のひとつだと思います。
毎日の合格ラインを下げる
以前の私は、「ちゃんとできなかったこと」ばかり見ていました。
でも発達障害の子どもを育てる毎日は、ただ一日を終えるだけでも大きな仕事です。
だから、合格ラインを下げることにしました。
- 今日、子どもが何か食べた
- 今日、布団に入れた
- 今日、危険なく一日が終わった
- 今日、必要な連絡だけはできた
- 今日、洗濯だけはできた
- 今日、私も少し座れた
それで十分な日があっていい。
100点の暮らしではなく、続けられる暮らしを目指したいです。
1週間単位で、予定に余白を作る
発達障害児育児では、予定外のことが起きます。
だから、予定をぎゅうぎゅうに詰めるとすぐに苦しくなります。
これからは、1週間の中にあらかじめ「予備日」や「何もしない時間」を入れたいと思っています。
例)
- 月:学校と仕事の最低対応だけ
- 火:洗濯や買い物
- 水:予備日
- 木:書類や連絡関係
- 金:週末前の最低準備
- 土日:回復と調整
現実はこの通りには進みません。
でも最初から余白を作っておくことで、予定外が入っても少し崩れにくくなります。
お母さんの休憩も、予定に入れる
全部終わったら休もう、はなかなか来ません。
だから休憩は、余った時間に取るのではなく、先に予定として入れる必要があると思いました。
- 帰宅後10分だけ座る
- 夜、5分だけ横になる
- 荒れた後、すぐ片付けずにまず深呼吸する
- スマホを見ずに、何もしない時間を作る
お母さんの回復は贅沢ではありません。家庭を続けていくための必要な時間です。
「対応しない」ことも、必要な対応
いつでも即対応していると、親の心が削れていきます。
だから、対応しないルールも必要です。
- 怒鳴りながら話してくるときは、落ち着くまで話し合わない
- 夜に爆発した話は、翌日に回す
- 何度も同じ確認をされるときは、紙に書いて見てもらう
- きょうだいで責め合っているときは、まず離す
- お母さんが限界のときは、「今は無理」と伝える
冷たい対応ではなく、お互いを守るための線引きです。
まずは1週間だけ、家庭の働き方改革をしてみる
いきなり全部を変えるのは難しいです。だから、まずは1週間だけ。
私が試してみたいことは、この5つです。
- 夕飯を頑張りすぎない
- 学校への返信は、緊急以外は時間を決める
- 夜の重たい話は翌日に回す
- 洗濯や食事など、最低限だけで合格にする
- 毎日10分だけ、自分の休憩を入れる
大切なのは「もっと頑張る計画」ではなく、頑張りすぎないための計画にすること。
母親が倒れないこと。子どもたちが安心できること。家が完璧でなくても回ること。
そこを目指したいと思います。
まとめ|母親の努力だけで回す暮らしを、少しずつ変えていく
母親だからできて当たり前。母親だから我慢して当たり前。母親だから全部背負って当たり前。
そんなふうに考えていたら、いつか本当に動けなくなってしまうかもしれません。
だから、家庭にも働き方改革が必要です。
- 必要なことを残す
- やめることを決める
- 外に頼る
- 対応時間を決める
- 母親の休憩を予定に入れる
それは手抜きではなく、暮らしを続けるための工夫です。
完璧な母親を目指すより、倒れない母親でいること。
それが今の私にとっての、いちばん大切な家庭の働き方改革です。
