最後にまとめです。
「助けてください」と言える力を育てる
学習障害のある子どもにとって、
将来特に大切なのは、自分の困りを伝える力です。
- 読んでもらえますか
- 書き方を教えてください
- もう一度説明してください
- 少し時間が必要です
- 電卓を使ってもいいですか
- どこに書けばいいですか
- 分からないので手伝ってください
こうした言葉を使えることは、
漢字をたくさん書けることと同じくらい大切です。
困ったときに黙り込むのではなく、
必要な支援を求められるように練習します。
本人が自分の得意・不得意を知ることも大切
年齢が上がってきたら、
本人にも自分の学び方を少しずつ伝えます。
「あなたは頭が悪い」のではなく、
- 聞くと分かりやすい
- 書くより話す方が得意
- 文字が大きい方が読みやすい
- 一度にたくさんあると混乱しやすい
- 電卓を使えば考え方に集中できる
- 写真や図があると分かりやすい
というように伝えます。
自分に合う方法を知ることは、
将来、学校や職場で必要な支援を説明する力につながります。
勉強を拒否するときは、理由を探す
子どもが勉強を嫌がると、
やる気がないように見えることがあります。
でも、拒否の背景には、
- 問題が難しすぎる
- 量が多すぎる
- 何をすればよいか分からない
- 間違えるのが怖い
- 過去に叱られた経験がある
- 疲れている
- 書くことが痛い、苦しい
- できない自分を見たくない
という理由があるかもしれません。
「やりなさい」と押す前に、
何が苦しいのかを探します。
勉強を拒否することは、
子どもが自分を守るための反応である場合もあります。
褒めるときは「正解」以外も見る
正解したときだけ褒めていると、
間違いを怖がるようになることがあります。
学習障害のある子どもは、
結果が出るまでに時間がかかります。
だから、
- 始められた
- 一問取り組めた
- 分からないと言えた
- 道具を使えた
- 自分で確認できた
- 間違いを直せた
- 休憩して戻れた
- 昨日より一つ分かった
という過程も認めます。
子どもが、
「できなかった」だけではなく、
「ここまではできた」と感じられることが大切です。
親が教えることに限界があってもいい
家庭で勉強を見ていると、
親も疲れます。
何度説明しても伝わらない。
子どもが怒る。
親も強い言い方になる。
最後はお互いに泣きたくなる。
私も、母親だから何でも教えられるわけではありません。
親子だからこそ、
感情が近すぎて難しいこともあります。
そんなときは、
- 学校の先生
- 通級指導教室
- 特別支援教育コーディネーター
- スクールカウンセラー
- 発達支援や医療の専門職
- 放課後等デイサービス
- 学習支援を行う事業所
- 民間の個別指導
など、外の力を借りてもよいと思います。
親の役割は、
すべてを自分で教えることではありません。
子どもに合う学び方を探し、
必要な人や道具につなぐことも、大切な役割です。
専門的な評価を受ける意味
どのような能力に困難があるのかを詳しく知るために、
医療機関、教育相談、発達支援機関などで相談する方法があります。
評価を受ける目的は、
できないことを証明することではありません。
- どこにつまずいているのか
- どの方法なら理解しやすいのか
- 学校でどのような配慮が必要か
- 家庭で何を優先して取り組むか
を考える材料にすることです。
視力や聴力など、
学習に影響する別の要因がないかを確認することも大切です。
わが家の学習で大切にしたいこと
私が子どもの学習で大切にしたいのは、
学年の内容をすべて同じようにできることだけではありません。
今できるところから始める
実際の学年より前の内容でも、
本人が理解できる段階まで戻ります。
戻ることは、後退ではありません。
分からないまま先へ進むより、
土台を作り直すための大切な時間です。
得意な教科まで下げすぎない
国語や算数が苦手でも、
社会や理科、好きな分野は年齢相応に理解できることがあります。
読む部分だけ手伝い、
内容は本人の年齢や興味に合うものを学びます。
書けないことと、考えられないことを分ける
手書きができないからといって、
考える力がないとは限りません。
口頭、選択式、入力、図など、
別の方法で表現できないか考えます。
将来使う力を優先する
生活に必要な文字、計算、お金、時間、予定管理、助けを求める力を少しずつ学びます。
勉強によって心を壊さない
知識を増やすために、
子どもの自己肯定感を失わせてしまっては、長く続きません。
「できないことがあっても、自分には学ぶ方法がある」
と思えることを大切にしたいです。
家庭で取り組むときの簡単な流れ
1.困っていることを一つに絞る
漢字、音読、計算など、
一度にすべてを改善しようとしません。
2.どの段階で止まっているかを見る
読めないのか、意味が分からないのか。
式が分からないのか、計算で間違えるのか。
3.練習する部分と、道具で補う部分を決める
すべてを自力でできるようにするのではなく、
必要に応じて読み上げ、電卓、タブレットを使います。
4.5分程度から始める
短い時間、少ない問題から始めます。
5.できたところで終える
限界まで取り組ませず、
本人が「できた」と感じられるところで終えます。
6.合わなければ方法を変える
覚えられないときは、
努力量ではなく学び方を見直します。
7.学校や支援者と共有する
家庭でうまくいった方法を学校にも伝えます。
まとめ|学習障害のある子どもには、その子に合う学ぶ道がある
学習障害のある子どもの勉強では、
同じことを何度も繰り返せば、いつか追いつくとは限りません。
読むことが難しい。
書くことが難しい。
計算が定着しない。
それは、本人が怠けているからでも、
親の教え方が悪いからでもありません。
必要なのは、
- どこでつまずいているかを知る
- 一度に取り組む量を減らす
- 文字や教材を見やすくする
- 音声や図、具体物を使う
- 漢字を部品や意味と結びつける
- 計算を実物や数直線で理解する
- タブレットや電卓で苦手を補う
- 学校へ必要な配慮を相談する
- 生活に必要な力を優先する
- 助けを求める方法を学ぶ
ことです。
ビジョントレーニングのような活動も、
本人が楽しみながら、目と手を使う経験の一つとして取り入れることはできます。
ただし、一つの方法だけで学習障害を解決しようとせず、
読み書き、言葉、記憶、注意、感覚、目の状態などを幅広く見ていくことが必要です。
私も、子どもが学年相当の問題を解けないと、
この先どうなるのだろうと不安になります。
もっと練習させなければ。
少しでも追いつかせなければ。
そう焦ることもあります。
でも、子どもが将来必要とするのは、
すべてを一人で同じ方法でできる力だけではありません。
自分に合う方法を知ること。
使える道具を選ぶこと。
分からないと伝えること。
人に助けを求めること。
生活に必要なことを、自分なりの方法で行うこと。
それも大切な学ぶ力です。
学習障害のある子どもに必要なのは、
苦手を隠して周りと同じようにすることではなく、
自分に合う方法なら学べるという経験
なのだと思います。
焦らず、比べすぎず、
今できるところから一つずつ。
子どもの学びを、
学校の点数だけではなく、これからの生活につながる力として支えていきたいと思います。

