今回は具体的な方法について整理していきます。
学習時間は短く区切る
長時間机に向かうことより、
短時間でも落ち着いて終えられることを大切にします。
たとえば、
- 5分だけ読む
- 漢字を1つだけ練習する
- 計算を3問だけ解く
- 終わったら好きなことをする
- 調子がよければ、もう一度5分取り組む
という方法です。
最初から30分、1時間と決めると、
始める前から負担を感じる子もいます。
短い時間で終わることが分かれば、
取り組みやすくなります。
大切なのは、
たくさんやったかではなく、
「今日はここまでできた」と終えられること
です。
読むことが苦手な子どもの勉強法
読むことが苦手な子どもは、
文字を一つずつ読むことに大きな力を使います。
最後まで読んだ頃には、
最初の内容を忘れていることもあります。
読む力を支える方法として、次のような工夫があります。
文字を大きくする
教科書やプリントの文字が小さい場合は、
拡大コピーやタブレットの拡大機能を使います。
行間を広くする
文字や行が詰まっていると、
どこを読んでいるのか分からなくなることがあります。
行間の広い教材や、余白の多いプリントを使います。
読む行以外を隠す
紙や定規、リーディングルーラーなどを使い、
今読む行だけが見えるようにします。
文を短く区切る
長い文章を、一文ずつ、意味のまとまりごとに区切ります。
斜線を入れたり、色を変えたりすると、
文の構造が見えやすくなる子もいます。
ふりがなをつける
読めない漢字が多いと、
内容を理解する前に止まってしまいます。
学年にこだわらず、必要な漢字にはふりがなをつけます。
音声で聞く
教科書や文章を読み上げてもらうと、
自分で読む場合より内容を理解できることがあります。
大人が読むほか、
タブレットやパソコンの読み上げ機能も使えます。
大人と交互に読む
一文ずつ交互に読む。
難しい部分は大人が読み、短い部分だけ本人が読む。
すべてを一人で読ませなくても、
文章の内容に触れることはできます。
音読は量より、負担を確認する
音読は、学校の宿題として出ることがあります。
しかし、読むことに困難がある子にとって、
毎日長い文章を音読することは大きな負担です。
文字を読み間違えないようにする。
声に出す。
行を追う。
内容を理解する。
これらを同時に行う必要があるからです。
音読が難しい場合は、
- 一文だけ読む
- 親と交互に読む
- 親が先に読んで、後から繰り返す
- 読む部分を本人に選んでもらう
- 録音された音声を聞きながら読む
- 音読ではなく、内容を聞いて答える
などに変える方法があります。
音読の目的が、
文字を正確に読む練習なのか、
文章の内容を理解することなのかによっても、方法は変わります。
書くことが苦手な子どもの勉強法
書くことが苦手な子どもに、
何度も書き写す宿題をさせると、
内容を学ぶ前に疲れてしまうことがあります。
書く力を育てることは必要ですが、
すべての学習を手書きで行う必要はありません。
書く量を減らす
文章をすべて書き写すのではなく、
- 答えだけ書く
- 選択肢から選ぶ
- 穴埋めにする
- 大人が代筆する
- 口頭で答える
という方法があります。
マスや補助線を工夫する
大きなマスを使う。
十字の補助線を入れる。
文字の始点に印をつける。
文字の配置が分かりやすくなることがあります。
鉛筆や道具を変える
太めの鉛筆、三角軸の鉛筆、鉛筆グリップなどが使いやすい子もいます。
筆圧が強すぎたり弱すぎたりする場合は、
書きやすい筆記用具を探します。
キーボード入力を使う
手書きは難しくても、
キーボードやタブレットなら文章を作れる子がいます。
入力は「楽をする方法」ではなく、
考えを表現するための手段です。
音声入力を使う
話すことはできても、書くことが難しい場合は、
音声入力を使って文章にする方法もあります。
まず話して文章を作り、
後から一緒に直していきます。
漢字が苦手な子どもの勉強法
漢字の練習というと、
同じ文字を何度も書く方法が一般的です。
しかし、学習障害のある子にとっては、
10回、20回書いても定着しないことがあります。
その場合は、回数を増やすより、
覚え方を変えます。
漢字を部品に分ける
漢字を一つの複雑な形として覚えるのではなく、
偏やつくりなどの部品に分けます。
たとえば、
「休」は「人」と「木」
「明」は「日」と「月」
というように分けます。
漢字の意味と結びつける
形だけを覚えるのではなく、
漢字が表す意味や成り立ちと結びつけます。
意味が分かると覚えやすい子もいます。
言葉や文章の中で覚える
漢字だけを単独で練習するより、
本人がよく使う言葉の中で覚えます。
住所。
自分や家族の名前。
好きな物の名前。
買い物で見る言葉。
生活で使う漢字から始めると、
覚える目的が分かりやすくなります。
指でなぞる
紙に書くだけでなく、
- 指で大きく空書きする
- 砂や粘土に書く
- ホワイトボードに書く
- タブレットでなぞる
など、体の動きと結びつけます。
声に出しながら書く
部品や書き順を、言葉にしながら書きます。
本人が覚えやすい言い方を一緒に作る方法もあります。
1日に覚える数を減らす
一度にたくさん練習するより、
本当に必要な漢字を1つか2つに絞ります。
読めればよい漢字と、書けるようにしたい漢字を分ける
すべての漢字を手書きできるようにする必要があるか、考えます。
読むことを優先する漢字。
生活で書く必要がある漢字。
入力や変換を使えばよい漢字。
目的に応じて分けることで、
本人の負担を減らせます。
漢字練習で避けたい「何十回も書けば覚える」という考え方
繰り返し書くことで覚えられる子もいます。
しかし、何度書いても覚えられない子に、
さらに回数だけを増やすと、
「こんなにやっても自分はできない」
という経験が残ってしまいます。
書いた回数ではなく、
- 翌日に読めるか
- 必要なときに思い出せるか
- 似た漢字と区別できるか
- 生活の中で使えるか
を確認します。
覚えられない場合は、
努力が足りないのではなく、
その覚え方が本人に合っていない可能性があります。
計算が苦手な子どもの勉強法
計算が苦手な子どもの中には、
数字を書いたり、九九を暗記したりする以前に、
数の大きさや量のイメージがつかみにくい子がいます。
その場合は、プリントだけでなく、
実物を使って学びます。
具体物を使う
おはじき、ブロック、硬貨、お菓子などを使い、
数を目で見て、手で動かします。
「3+2」を数字だけで考えるのではなく、
3個の物に2個を加えて確認します。
数直線を使う
数字がどの位置にあるかを、
一本の線の上で確認します。
足し算は右へ進む。
引き算は左へ戻る。
動きとして理解しやすくなる子もいます。
位を色分けする
一の位、十の位、百の位を色分けします。
マスを使って数字の位置をそろえることも有効です。
計算の手順を見える化する
頭の中だけで手順を覚えるのが難しい場合は、
紙に順番を書きます。
1.一の位を計算する
2.繰り上がりを書く
3.十の位を計算する
というように、一つずつ進めます。
問題数を減らす
同じ種類の計算を何十問も行うより、
少ない問題を落ち着いて解きます。
計算機を使う
計算の仕組みを学ぶことと、
生活や学習で正しい答えを出すことは別です。
複雑な計算や、他の教科で計算が必要な場合は、
電卓や計算アプリを使う方法があります。
計算機を使えることも、
生活に必要な大切な力です。
九九が覚えられないときの工夫
九九は、音で覚えやすい子もいれば、
何度唱えても混乱する子もいます。
覚えにくい場合は、
- 九九表を見ながら使う
- 答えの並び方を確認する
- 2の段、5の段、10の段から始める
- ブロックを並べて意味を確認する
- 歌やリズムに合わせる
- 必要なときに九九表を使えるようにする
という方法があります。
すべてを暗記できなくても、
九九表を正しく使い、答えを見つけられることは一つの力です。
文章問題は「読む力」と「計算する力」を分ける
文章問題ができないと、
算数が理解できていないように見えます。
しかし、文章を大人が読み上げると解ける場合は、
計算ではなく読む部分に困難がある可能性があります。
その場合は、
- 問題文を読み上げる
- 必要な数字に印をつける
- 大切な言葉を囲む
- 絵や図にする
- 何を聞かれているかを短い文にする
- 式と計算を別々に考える
といった方法を使います。
「一人で全部読んで、式を作り、計算して、答えを書く」
という複数の作業を一度に求めず、
一つずつ分けます。

